中耳炎はうつる?保育園や家庭内で気をつけるべきこと

中耳炎はうつる?保育園や家庭内で気をつけるべきこと

「子どもが中耳炎と診断されたけど、保育園は休ませるべき?」
「下の子にうつらないか心配…」

お子さまが中耳炎になると、痛みや症状への対応はもちろん、周りの子どもたちへの感染を心配される保護者の方は非常に多いです。

結論から言うと、中耳炎そのものが、空気感染などで人から人へ直接うつることはありません。しかし、その原因となるウイルスや細菌、そして症状によっては、注意が必要なケースもあります。

この記事では、中耳炎が「うつる」と誤解されがちな理由から、保育園やご家庭で気をつけるべき具体的なポイントまで、分かりやすく解説します。

中耳炎の原因・症状は?

中耳炎の原因・症状は?

まず、子どもがよくかかる代表的な中耳炎には、主に2つの種類があります。それぞれ原因や症状が異なりますので、違いを理解しておきましょう。

急性中耳炎

急性中耳炎は、風邪などをきっかけに、鼻やのどにいる細菌・ウイルスが耳管という管を通って中耳に入り込み、急な炎症を起こす病気です。主な症状としては、突然の激しい耳の痛みや発熱が挙げられ、特にお子さまが夜間に突然泣き出す原因となることも少なくありません。炎症が強くなると、鼓膜が破れて耳から膿が出てくる「耳だれ」を伴うこともあります。

滲出性中耳炎

滲出性中耳炎は、急性中耳炎が治りきらなかったり、鼻すすりの癖が続いたりすることで、中耳に滲出液という液体が溜まり続けてしまう病気です。急性中耳炎とは異なり、痛みや熱といったはっきりした症状がほとんどないのが特徴です。主な症状は聞こえが悪くなる「難聴」や、耳が詰まったような感覚で、お子さま自身が症状を訴えることが難しいため、保護者の方が気づきにくいことがあります。「呼んでも振り向かない」「テレビの音を大きくする」といった様子が見られたら、この中耳炎の可能性があります。

中耳炎はうつるのか?

中耳炎はうつるのか?

冒頭でもお伝えした通り、中耳炎そのものが直接うつることはありません。中耳炎は、耳の中(鼓膜の奥)で起きている炎症であり、くしゃみや咳でその菌が飛び散って、他の人の耳に直接感染するということはないからです。

ではなぜ、「中耳炎はうつる」と思われがちなのでしょうか?
それは、中耳炎の引き金となる風邪のウイルスや細菌が、人から人へとうつるためです。

保育園などで風邪が流行ると、多くの子どもたちが鼻水や咳の症状を発症します。その結果、風邪をひいた子どもの一部が、合併症として中耳炎を発症することがあります。これが、「中耳炎がうつった」ように見える原因です。

耳垂れ(耳漏)が出ている時は注意が必要

ただし、一つだけ注意点があります。急性中耳炎で鼓膜が破れ、耳から膿が出てくる「耳だれ」がある場合、その膿には細菌が含まれています。

この膿が、タオルや枕、手などを介して他の人の目や傷口に触れると、そこで感染症(結膜炎など)を引き起こす可能性はゼロではありません。耳垂れ(耳漏:じろう)が出ているときには、耳漏に含まれる細菌を、指などでさわってほかの人や、体のほかの部分にうつさないように注意が必要です。

うつらないなら登園・登校はしてもいい?

中耳炎は、インフルエンザやはしかのように学校保健安全法で「出席停止」が義務付けられている感染症ではありません。そのため、登園や登校をするかどうかの判断は、お子さまの全身の状態によります。

基本的な目安としては、熱がなく、耳の痛みも治まっていて、普段通り元気に過ごせるようであれば登園・登校は可能と考えてよいでしょう。

ただし、急性中耳炎で耳だれが出ている場合は、衛生上の観点からプール活動への参加は見合わせる必要があります。また、保育園や学校によっては独自のルールを設けている場合もあるため、判断に迷う際は、事前に園や学校の方針を確認することをお勧めします。

保育園や家庭内で気をつけるべきこと

保育園や家庭内で気をつけるべきこと

中耳炎そのものはうつりませんが、原因となる風邪の感染を防ぎ、症状を悪化させないためには、ご家庭や保育園での過ごし方にいくつかの大切なポイントがあります。

基本的な感染対策の徹底

中耳炎を引き起こす原因のウイルスや細菌は、くしゃみや咳、ウイルスがついたものに触ることで他の人に感染します。子どもが感染症にかかっているときは、ママ・パパはいつも以上に意識して手洗い・うがい・手指の消毒などを行いましょう。

耳だれが出ている場合は清潔にケア

耳だれには細菌が含まれていることがあり、触るとうつることがあります。耳だれが出ている場合は直接触らず、外に出てきたものをガーゼなどで優しく拭き取ってケアしましょう。

免疫力を高める生活

免疫力が低下するとウイルスや細菌に感染しやすくなります。中耳炎を引き起こす原因のウイルスを子どもからうつされないためにも、普段から規則正しい生活やバランスのとれた食事で免疫力を高めておくのがおすすめです。

まとめ

まとめ|気になる症状があれば耳鼻科での診察を

最後に、この記事のポイントをまとめます。

  • 中耳炎そのものは、人から人へ直接うつりません。
  • 中耳炎の原因となる「風邪」のウイルスや細菌はうつります。
  • 登園・登校は、熱がなく、耳の痛みが治まっていれば基本的に可能です。(ただし園のルールを確認)
  • 耳だれが出ている場合は、清潔なケアを心がけましょう。

お子さまが中耳炎と診断されると、ご家族は様々な不安を感じるかと思います。しかし、正しい知識を持って冷静に対処することが大切です。この記事が、皆さまの不安を少しでも和らげる一助となれば幸いです。気になる症状があれば、自己判断せず、必ず耳鼻科医に相談してください。

この記事の監修者

院長よりご挨拶
武田耳鼻咽喉科 院長
武田 桃子

・埼玉医科大学医学部卒業
・日本大学附属板橋病院 臨床研修医終了
・東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科 勤務
・東京慈恵会医科大学附属第三病院 耳鼻咽喉科 勤務
・東京都保健医療公社 豊島病院 耳鼻咽喉科 勤務

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